全国の「○○ビズ」(自治体主導型)
町工場や商店主らの経営の悩みにコーディネーターも一緒に考え、助言する「○○ビズ」が全国で広まっている。相談員に専門家をそろえた静岡県富士市の「f―Biz」(エフビズ)がモデルだ。「地域の中小企業を活性化させたい」と願う自治体がエフビズなどを視察し、導入し始めた。
広島県第2の都市、福山市に昨年12月6日、「フクビズ」がオープンした。開設に携わったエフビズの小出宗昭センター長(57)によると、エフビズをモデルに自治体が主導してできた「○○ビズ」は、フクビズが全国で6カ所目だ。
小出さんは記念講演で、エフビズに相談に来て業績を回復させた食品会社や呉服店の事例を紹介し、「チャレンジャーを増やせば、街は元気になる」と、来場した約250人に語りかけた。
全国のモデルになっているエフビズは2008年にできた。マーケティングの専門家や百貨店の元バイヤーなどが相談スタッフにいて、無料で相談に乗る。小出さんもかつて、銀行で合併や買収を担当していた。「現状分析や問題点の指摘だけでなく、相談に来た企業の長所を生かした具体的なアイデアを出す」ことを目指している。小出さんによると、改善策を提案した会社のうち、7割で売り上げが増えたという。
福山市はエフビズの効果を知り、市職員が視察。相談件数の多さや、相談者のリピート率の高さから設置を決めた。センター長は年収1200万円で公募し、応募してきた約100人の中からベンチャー企業を立ち上げたことがある男性(37)を選んだ。相談員はこの男性1人だけだが、新年度に増える予定だ。
開所してすぐに1カ月以上先の予約が埋まるなど、地元の期待は大きい。市の担当者は「中小企業の活性化は全国共通の課題。急激な景気回復が望めない中、補助金を中心とした従来の支援とは違う魅力を感じた」と話す。
「○○ビズ」はほかに、昨年は7月に岐阜県関市などで開設された。今年度中に大阪府大東市などにできる予定だ。いずれも小出さんがセンター長の人選や研修、運営のサポートに関わっており、新年度に向けてさらに全国の5自治体から開設の申し入れがあるという。