トランプ次期米政権で司法長官に指名されたジェフ・セッションズ上院議員(70)に対する承認公聴会が10日、米上院であった。同議員は、民主党のクリントン前国務長官のメール問題に関し、捜査を直接指示することはしないと述べる一方、移民問題では「制度改革」を唱え、強硬姿勢を示した。
米国では閣僚に就任するには米上院の承認が必要で、トランプ次期政権での主要閣僚ポスト計10人に対する公聴会が予定されている。この日、最初の公聴会に臨んだセッションズ氏は共和党最右派で、不法移民排斥を強く主張。人種差別的発言でも物議をかもした経緯があり、上院司法委員会では過去の同氏の発言をただす質問が相次いだ。これに対し、同氏は「私は(クー・クラックス・)クラン(KKK)や憎悪に満ちた価値観に反対だ」と差別主義者ではないと主張した。
また、クリントン前国務長官が公務で私用メールアドレスを使った問題や財団問題などについて「政治的議論を犯罪の議論に変えてはいけない」と述べ、司法長官に就任してもクリントン氏への捜査を直接指示しないと強調。一方、移民問題では「現在の(移民)制度を見直し、無法行為を終わらせる」と述べた。
公聴会では、傍聴人が「人種差別主義者」とセッションズ氏をなじって退場させられるなど、数度中断する異例の事態となった。(ワシントン=佐藤武嗣)