ミャンマー北部カチン州で、政府軍が少数民族武装組織のカチン独立機構(KIO)への攻勢を強め、約4千人の避難民が行き場を失っている。国境の川を越えて中国側に逃れようとしたところ、中国当局に押し返されたといい、国境近くの道端などにとどまらざるを得ない状況だ。
避難民を支援する地元NGOのグループが13日にヤンゴンで各国外交団に説明したところでは、政府軍が戦闘機による爆撃も加えて国境地帯のKIO軍事拠点を10日に制圧すると、付近の避難民キャンプに暮らす約4千人が11日未明、中国側に逃れ始めた。だが、中国当局は同日中にミャンマー側に追い返した。
13日朝には、政府軍が放ったとみられる砲弾5発が近くの中国側に落ちた。現場の気温は5度程度まで下がり、身の安全に加えて健康状態も懸念される状況だという。
事実上の政権トップであるアウンサンスーチー国家顧問は国内和平を掲げているが、停戦に応じていないKIOなどへの政府軍の攻撃は昨年以降、むしろ激化している。NGOグループのグンシャアウン氏は「政権は軍の攻撃を端で見ているだけ。軍への影響力もほとんどない」と批判した。(ヤンゴン=五十嵐誠)