後半、ヘディングシュートを放つ吉田=長島一浩撮影
(19日、日本2―1コロンビア サッカー・ワールドカップ)
声援で声が届かないことも考慮してだろう。DF吉田麻也が身ぶり手ぶりを大きくし、指示を出した。特に、ワールドカップ(W杯)初出場となる相棒のDF昌子(しょうじ)源に対しては念入りに気にする。一切の後悔の無いように……。
いまも4年前のW杯で惨敗した空虚感が、吉田の心に刻まれている。
カードを引き当てて、オリジナル日本代表をつくろう
【特集】2018ワールドカップ
「その前の4年間、W杯に向けて積み重ねてきても、あっという間に出し切れずに終わっちゃった。気付いたら家にいた」
勝たなければ、わずか3試合で終わってしまうのがW杯。だから2回目の今大会は持てる力を出し切りたい。そう思う自分がいる。
DF昌子、強力コロンビアに奮闘 W杯デビュー
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欧州で活躍する日本選手も多くなったが、センターバックとして世界トップクラスのリーグでプレーしているのは、吉田ただ一人だ。イングランド1部サウサンプトンに移籍してから6年。イングランド勢は潤沢な資金を持ち、毎年のように吉田のライバルを連れてくる。今年の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝に出場したリバプールのDFファンダイク、DFロブレン、2016年欧州選手権で優勝したポルトガル代表DFフォンテ。みな吉田が、かつてポジションを争った選手たちだ。
その中で、常に先発で出られたわけではない。試行錯誤を繰り返し、チームでキャプテンを任されることもある。「厳しいところに身を置いている」。派手な活躍はない。そんな自負があるからこそ、W杯でも戦える手応えがある。
後半になると、昌子の緊張も徐々にほぐれ、自分らしさを取り戻すようになった。吉田はコロンビアのカウンターに、体をぶつけて芽を摘んだ。「4年前の反省をいかせた」と吉田。最終ラインをまとめ、ほっと笑みを見せた。(河野正樹)