ミャンマー国立交響楽団の練習で指揮をする山本祐ノ介さん=1月、ヤンゴン、染田屋竜太撮影
政治に振り回され、一時は休止状態だったミャンマーの国立交響楽団。支援を続けてきた日本人音楽家らの尽力もあって、楽団は様変わりしつつある。現在指揮を務める山本祐ノ介さん(54)は、クラシック音楽の経験が乏しかった団員の上達ぶりに、少しずつ手応えを感じている。
2月、首都ネピドーのホールであったコンサート。山本さんが指揮棒を振り上げると、ビゼーの「カルメン」第1組曲が勢いよく始まった。客席では約1400人が熱心に聴き入った。
「技術的には日本の大学生の中くらいのレベルかもしれない。でも、観客を楽しませたいという楽団員のプロ意識は誰にも負けていない」と山本さんは言う。
一時は活動停止も
長く交響楽団がなかったミャンマーに、いまの国立交響楽団ができたのは軍事政権時代の2001年。東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国就任を見据え、各種イベントで演奏することが期待された。
だが、04年、楽団設立を主導したキンニュン第1書記が失脚。楽団は活動停止になった。軍政は国際的な批判を受け、05年に翌年の議長国就任を辞退した。
楽団は民政移管後の12年に活動を再開。中心になったのは、ビオラ奏者のウィンミンピョーコーさん(43)だった。国内にクラシックの指揮者がおらず、外国から招いた。日本人や英国人の指揮者らの下で再建の礎を築いた。
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