2日夜、タイ北部チェンライ郊外の洞窟で生存が確認された少年ら=タイ海軍提供
タイ北部チェンライ郊外のタムルアン洞窟に閉じ込められていた少年ら13人について、チェンライ県知事は2日夜、全員の生存を確認したと発表した。洞窟の入り口から約5キロ奥の場所に固まって避難していた。9日間、暗い洞窟内で過ごし、かなり疲労しているが、いずれも重体など深刻な状態ではなく、何人かは救助隊と話せたという。
タイ海軍などによると、2日午後9時半ごろ、タイ海軍特殊部隊のダイバーが洞窟内の水がない場所に少年らが座っているのを発見。全員の姿を確認した。「大丈夫ですか」などと問いかけると、数人が「おなかがすいた」「食べ物がほしい」とこたえたという。中には、疲労から話すことができず、救助隊にメモを渡したり、助かると分かって泣き出したりする少年もいた。多くは軽傷を負った程度だったという。
今後、食料と医療チームを少年らの場所に送り、健康状態を見た上で慎重に洞窟外に救出する。タイ海軍は、現場に食料を送りながら少年らに外へ出るための潜水技術などを教える案も示した。出られるようになるまで「4カ月ほどかかる」との見方もあるという。食べ物はほとんど持っていなかったとみられ、9日間をどうしのいだのかなども聴く予定だ。
13人は同じサッカーチームに所属する11~16歳の少年と25歳の男性コーチ。6月23日午後に洞窟に入り、大雨による増水で洞窟内の道がふさがれて戻れなくなったとみられる。タイ国軍や警察に加え、米軍やボランティアの洞窟探検家ら計約2千人が捜索していた。
洞窟内に濁水がたまり、雨期で降り続く雨がさらに流れ込んだことで捜索は難航。7月1日にいったん雨がやんだことから、50本以上のパイプを洞窟内にいれてポンプ車で水をくみ出して水位を下げ、2日にダイバーが一気に奥まで進んだという。
洞窟近くのテントに詰めていた少年らの家族は、全員の生存確認を聞くと歓声を上げ、泣き出す人もいたという。(チェンライ=染田屋竜太)