仏壇には、穏やかな表情の森さんの写真が飾られていた=遺族提供
名古屋市で女性を殺害したほか、仙台市で同級生2人に劇物「硫酸タリウム」入りの飲料水を飲ませたなどとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元少女(21)の裁判員裁判の初公判が16日、名古屋地裁で始まった。
元少女側、無罪を主張 精神障害理由に タリウム事件
事件から2年1カ月。森外茂子(ともこ)さんの夫(83)は初公判の16日午後から裁判を傍聴する予定だ。
毎朝、小さな仏壇の遺影に向かって手を合わせる。ベッドの枕も衣類も処分していない。「当時のままだよ。妻がいなくなってから、何も触っていない」。妻が手入れしていた、玄関に置かれた造花のバラは薄くほこりをかぶっていた。
2014年12月7日は日曜日だった。夕方、ゴルフから名古屋市内の自宅に帰ると妻はいなかった。「電話もなく家を出たことは一度もなかった」。夜になって警察に通報した。それから連日、警察署に足を運んだが、進展はなかった。「早く見つけてあげたい」と、100万円を出して探偵に調査を依頼した。
あの日曜日。妻は知人だった元少女と会い、午後に2人の足どりが途絶えたことが分かった。探偵の調査報告書を県警に持参し、捜査は動いた。翌年1月27日、県警は元少女宅で森さんの遺体を発見し、元少女を殺人容疑で逮捕した。
遺体安置所で妻と対面した。涙…