綿矢りささん=東京都中央区の朝日新聞東京本社、林紗記撮影
文壇をにぎわせた、19歳と20歳の芥川賞ダブル受賞から13年。互いに初めての新聞連載小説となった綿矢りささんの『私をくいとめて』と、金原ひとみさんの『クラウドガール』が、同時刊行された。同時代を駆け抜けている2人が、執筆や育児について語り合った。
――初めての新聞連載はいかがでしたか。
金原 緊張しました。でもすごいなと思ったのは、普段だったら絶対に読んでくれない人が読んでくれているという実感があって。同じアパートに1人日本人の方が住んでいて、連載が始まって「金原さんですか。母が朝日新聞を送ってくれて、読んでます」って。普段とは全然違う読者層に読んでもらうきっかけになったのだなあと、うれしかったです。
綿矢 連載が始まる前に区切りを見直して。この短さで区切ったのが初めてで、1話が会話だけにならないように、新たに文章を読み直して区切っていくのが楽しかったですね。ひとつの物語のなかに、いくつもの小さな物語が組み込まれていることに気がつくことができました。
――作家の母の死をめぐる姉妹…