関西電力高浜原発2号機の原子炉補助建屋に倒れたクレーン=20日夜、福井県高浜町、関西電力提供(提供データを画像調整のため一部加工しています)
関西電力高浜原発(福井県高浜町)の構内で20日午後9時50分ごろ、大きな音がしたため社員が現場を点検したところ、工事用の大型クレーン1台が倒れ、2号機の原子炉補助建屋と使用済み核燃料を保管する燃料取り扱い建屋にもたれかかるような状態になっているのが見つかった。二つの建物の屋根の一部が変形していた。クレーンは強風で倒れたとみられる。関電が21日未明に発表した。
関電によると、周辺の放射線量に影響はなく、けが人もいないという。倒れたクレーンは全長約113メートル。事故当時作業はしていなかったが、アームが斜め上に伸びている状態だった。クレーンはアームがぐにゃりと曲がって建屋に倒れていた。燃料取り扱い建屋には使用済み核燃料を保管するプールがあるが、プールへの落下物はなかったという。
運転開始から40年を超える高浜原発1、2号機は昨年6月、原子力規制委員会から国内で初めて20年間の運転延長が認められた。現在は運転停止中で、関電は運転延長に必要な安全対策工事の一環として、原子炉格納容器の上部にドーム状のコンクリート製の屋根の設置を計画。昨年12月に大型クレーン4台を設置し、2月からの本格工事に向けて準備を進めているところだった。今回、このうち1台のクレーンが倒れた。
当時、福井県内には暴風警報が出ており、関電による高浜原発構内での計測では、風速14~15メートルを記録していたという。関電は強風で倒れたとみて、詳しい原因を調べている。