築地市場の移転が予定されている豊洲市場=1月
東京都の豊洲市場(江東区)で問題となっている地下水の汚染。全国各地の市場でもこれまで、土壌や地下水から基準値を超える有害物質の検出が相次いできた。食の安心・安全をどう担保するか。専門家は「オープンな議論と責任の明確化が必要」と指摘する。
「基準の最大630倍のベンゼンが検出されました」。18日、兵庫県姫路市。市中央卸売市場の移転に関する専門家会議で、移転予定地の土壌汚染の最新調査結果が示された。
市場は設置から約60年。施設が老朽化し、移転先として市は2015年、出光興産の旧兵庫製油所用地跡を選んだ。だがその直後、出光側の調査で基準値を超える有害物質を検出。これまでの調査で、発がん性物質のベンゼンが土壌からは最大で国の基準の630倍、地下水からも最大で230倍が検出された。
東京の豊洲市場では今月14日、地下水から基準の最大79倍となるベンゼンや、最大3・8倍のヒ素が検出されたとする暫定の調査結果が公表された。豊洲は一度土壌汚染対策が施された後の検出なので単純比較はできないが、姫路も地下汚染の問題を抱えている。
姫路市の担当者は「ベンゼンは、出光が処理したはずの土に残っていた可能性もある」と説明する。調査を続け、土壌を入れ替えるなどの対策を取るという。