ヨルダン川西岸地区に広がるユダヤ人入植地=23日、AFP時事
イスラエル政府は24日、占領地のヨルダン川西岸のユダヤ人入植地に新たに2500軒の住宅を建設することを承認した。ネタニヤフ首相とイスラエル寄りの姿勢を鮮明にするトランプ米大統領との電話会談の直後に、入植活動を加速させる姿勢を鮮明にした。両首脳は2月上旬にワシントンで直接会談する予定で、トランプ氏が米国の中東政策を大きく変える可能性が指摘されている。
ネタニヤフ首相はツイッターで「我々は(入植地の住宅を)建設してきたし、これからも建設する」と宣言。一方、パレスチナ側は「違法入植地の意図的拡大」と強く反発している。
イスラエルによる占領地での入植活動は国際法違反とされる。入植活動に批判的だったオバマ前米政権は、国連安全保障理事会が昨年12月、イスラエルの入植活動の即時停止を求める決議案を採択した際、拒否権を行使せずに黙認した。
だが、イスラエル寄りの姿勢を鮮明にするトランプ氏が就任すると、エルサレム市当局は22日、イスラエルが占領する東エルサレムの入植地で約560軒の住宅建設を承認していた。入植活動の拡大は、国際社会がイスラエルの首都と認めていないエルサレムへの米大使館移転と合わせ、イスラエルとパレスチナの和平をさらに遠のかせると懸念されている。
一方、米ホワイトハウスのスパイサー報道官は24日、入植活動について「イスラエルは米国の巨大な同盟国であり続ける」と是非への明言を避けながらも黙認姿勢を示した。「トランプ大統領は、イスラエルが中東であるべき完全な敬意を得られるように、関係を強化したいと考えている」と付け加えた。(エルサレム=渡辺丘、ワシントン=杉山正)