米国のヘイリー国連大使は2日、安全保障理事会の会合に出席し、ウクライナ東部における政府軍と親ロシア派の衝突について、ロシアの「好戦的な行動」を非難した。ロシアによるクリミア併合で発動された米国の対ロ制裁は「(クリミア)半島が返還されるまで維持される」と明言した。
この日は、就任間もないヘイリー氏の安保理での初の公式発言。ロシアによる2014年のクリミア併合を巡り、オバマ前政権はロシアと激しく対立してきたが、トランプ大統領はこれまで対ロ関係の改善を主張。米国のウクライナ政策が変わるのか、ヘイリー氏の発言に注目が集まった。
ヘイリー氏は「クリミアはウクライナの一部」「米国は約3年に及ぶロシアによる占領と軍事介入で苦しむウクライナの人々の側に立つ」と述べ、「米国はロシアのクリミア占領を非難し続ける」と「占領」の即時停止を求めた。ウクライナでの停戦を定めたミンスク合意の履行も求めた。
ヘイリー氏は「米国はロシアとの関係改善を望む」としながら、「私にとって安保理での最初の発言で、ロシアを非難しなければならないのは不幸だ」とも述べた。
ロシアのチュルキン国連大使は、クリミアの住民の多くが賛成しているとして併合を改めて正当化した。ただ会合後に記者団に対し、オバマ前政権下で米国と激しく対立してきたことを念頭に「米国の非難のトーンは変わった。テーマや情勢を考慮すれば十分に友好的だった」と述べ、トランプ政権下での関係改善に期待感を示した。チュルキン氏によると、3日にヘイリー氏と面会予定という。(ニューヨーク=金成隆一)