トランプ米大統領は2日、イランによる弾道ミサイルの発射実験をめぐり、「イランは正式に警告されている」とツイッターにつづり、イランを牽制(けんせい)した。イラン側も米国に反発を強めており、オバマ前政権下で歩み寄った両国の関係が一気に悪化している。
イランは1月29日、北部セムナンの軍事施設から中距離弾道ミサイルを発射した。
トランプ氏はミサイル発射に加え、イランの核開発を大幅に制限することと引き換えに制裁を解除するとした2015年7月の核合意も批判。「イランは米国と交わしたひどい合意に感謝すべきだった」とした。
さらに、「米国がイラン合意という形で1500億ドル(約17兆円)を与えるまでは、イランは崩壊寸前だった」と持論を展開。合意によって凍結が解除される資産について言及したとみられるが、金額の根拠は示していない。
米政府はトランプ氏のツイッターに先立つ1日、ミサイル発射を強く非難する声明を出し、「適切な行動を取る」と強硬姿勢を示していた。
イランも米国に反発。AFP通信などによると最高指導者ハメネイ師の側近は2日、トランプ氏のことを「未熟な人間」と表現し、「イランを脅したのは初めてではない」と指摘。「米国政府はイランへの脅しは無意味だと理解するだろう。イランは自衛することにどの国の許可も必要としない」と語った。
また、ロイター通信によると、イランの国防相はミサイル実験が成功だったとし、国連安全保障理事会の決議にも、核合意にも違反しないと主張した。(ワシントン=杉山正)