四代目桂春団治を襲名する桂春之輔さん=2日、大阪市中央区、筋野健太撮影
上方落語の大名跡「桂春団治」を、落語家の桂春之輔(はるのすけ)さん(68)が四代目として襲名することになった。所属する松竹芸能が2日、発表した。披露興行は来春、大阪・道頓堀の大阪松竹座で開く予定。
初代は爆笑王として大正から昭和初期に一世を風靡(ふうび)し、破天荒な生涯は芝居や映画、歌にもなった。掛け持ちした寄席を赤い人力車で走り回った逸話はいまも語り継がれる。その芸風を色濃く受け継いだ二代目は、初代の模倣にとどまらない力量で人気を博した。二代目の息子で若くして名跡を継いだ三代目は、品のある高座で新たな春団治像を確立。人間国宝の桂米朝さんらとともに戦後の上方落語を復興させた「四天王」の一人で、昨年1月に亡くなった。
春之輔さんは大阪府寝屋川市出身。1965年に三代目に入門して春章(はるあき)を名乗った。68年に春之助となり、読売テレビ「2時のワイドショー」に出演するなど活躍の場を広げた。93年に現在の春之輔になった。
上方落語協会の副会長や幹事長を務め、2006年に定席の天満天神繁昌(はんじょう)亭(大阪市北区)が開場した際は、建設を主導した桂文枝会長を支えた。いまも副会長として運営に携わる。
大阪・道頓堀角座で開かれた記者会見に、春之輔さんは初代から代々受け継がれてきた金鎖の羽織ひもを初めて身につけて登壇。「初代、二代、三代目にない芸を自分なりに努力して作り上げたい」と決意を語った。(山崎聡)