「ゆうちゃん、汗かいてるね」。真寿美さんはひっきりなしに祐輔さんの肌に触れ、話しかける。「そばにいるよって、いつでも感じられるようにしてやりたい」=堺市堺区
「障害者に対する一般の感覚を最悪の形で集約したのが容疑者だと思うんです。私だって前は無理解だった。障害のある子が学校に来て何の意味があるんだろうって、思ってました」
特集:相模原の殺傷事件
相模原市の障害者施設「やまゆり園」で起きた殺傷事件に思いをめぐらせ、元小学校教諭の澤野真寿美さん(65)は言った。大阪府堺市の、重症心身障害者施設内の喫茶室。傍らには、車いすに座った長男の祐輔さん(34)がいる。
祐輔さんは18歳の時にバイク事故に遭った。重傷で一時は心肺が止まった。一命を取り留めたが、自分で動いたり言葉を発したりはできない遷延(せんえん)性意識障害という重い後遺症が残った。
英語にかかわる仕事を夢見て大学に入ったばかり。親も「子育ては一段落」と思った矢先だった。
「前は欲がいっぱいあった。勉…