就任1年目のキャンプで精力的に指導する辻監督
■スコアの余白
西武の春季キャンプ2日目。全体練習開始前、急きょ選手ら全員が外野グラウンドに集められた。前夜、辻監督の実父が亡くなったことを報告するためだった。同時に、監督は葬儀には出席せず、このままキャンプを続行することも伝えられた。
スコアの余白
全体練習後に取材に応じた辻監督の表情は、意外にもすっきりしていた。家族から連絡があり、1月30日に実家のある佐賀県に戻って父の廣利さん(享年86)と対面できたからだ。「そのときは目が開いてね。まあ、応援してねと」
西鉄ライオンズのファンで、車で何度も福岡の平和台球場へ連れて行ってくれた。「野球を好きになる環境を作ってくれた」と振り返った辻監督。「オヤジが大好きだったので(もし、プロに指名されたら)ライオンズに行かせてください、と社会人のときに言った」と笑みさえ浮かべた。
現役時代、辻監督の母親が亡くなったときも「来(こ)んでよか。試合に出とけ」と言う父親だった。監督就任1年目の春季キャンプというタイミングに、家族らも「ちゃんとあいさつ出来たから、もういいよ」と理解してくれていた。帰らない決断をすることは、監督にとって自然だった。
この日の朝も恒例のランニングで宿舎から球場入りした。練習中も全く普段通りの表情、動きだった辻監督。「大丈夫、オヤジは来(く)んな、と言いますよ。野球をしっかりやれ、と」