家宅捜索のため、車から段ボールを下ろす京都府警の捜査員たち=15日午前、京都市下京区、佐藤慈子撮影
暴力団組長の腎臓病をめぐる虚偽診断書を作成した容疑で京都府立医科大(吉川敏一学長)などが家宅捜索された事件で、京都府警は15日午前、心臓病について虚偽の診断書を作り大阪高検に提出した疑いがあるとして、民間の「武田病院グループ」の「康生会・武田病院」(京都市下京区)や同グループの武田隆久理事長の自宅について、虚偽診断書作成などの疑いで家宅捜索を始めた。
組長の虚偽意見書、別の病院も作成か 京都府立医大事件
捜査関係者によると、武田病院の心臓担当医は昨年2月、暴力団組長の高山義友希(よしゆき)受刑者の心臓の容体について「重症心室性不整脈」「これからも不整脈が頻発」などと、実際とは異なる虚偽内容の意見書を作成し、大阪高検に提出した疑いが持たれている。
JR京都駅近くの武田病院は、京都府内で多数の医療機関を経営するグループの中核施設。午前9時45分ごろに府警の捜査車両が到着し、捜査員約10人が病院内に入った。不整脈の診療で訪れた男性(73)は「病院や医師の対応が良く、こんなことが起きるなんて信じられない」と話した。
武田理事長は15日朝、朝日新聞の取材に応じ「不整脈の診断は事実に基づいたものだと思う」と捜索容疑を否定した。意見書の内容について高山受刑者側から依頼を受けたことはないとし、担当医からは「重症の不整脈で突然死の可能性があり、医療刑務所が相当と書いたと聞いている」と説明。心臓担当医と高山受刑者の関係についても「医者と患者との関係だと思う」と話した。
一方、腎臓病の虚偽診断書を作成した疑いで家宅捜索を受けた京都府立医科大付属病院の荒田均事務部長は14日夜、報道陣に対し、捜索容疑について「虚偽の診断はしていない」「(意見書に)手心を加えようとしたことはない」と述べた。高山受刑者と吉川学長との関係については「学長から病院の敷地内で会ったことがあると聞いているが、詳細はわからない」と話した。