東芝が半導体事業を分社化する新会社の株式売却で、1兆円超の資金調達を目指していることが分かった。2017年度中に売却を終え、18年3月末には自己資本を大きくプラスに改善させる考え。14日の決算発表延期の原因が、米原子力事業での損失を小さくみせようと、米子会社ウェスチングハウス(WH)の経営幹部がかけた「圧力」だったことも判明した。
特集:東芝の巨額損失問題
今年3月末の自己資本がマイナス1500億円と債務超過に陥る見通しの東芝は、半導体事業の売却でより多くの資金を得るため、当初2割弱とした株式の売却割合を5割超に引き上げて入札をやり直す方針。関係者によると、経営の重要事項に必要な特別決議を否決できる3分の1超の保有にもこだわらず、国内の雇用と拠点の維持を優先するという。売却割合の引き上げと入札の先送りで、同業他社も含めて幅広い応札が期待できる。
昨年4~12月期決算の発表延期につながった内部統制の問題では、関係者によると、東芝が61億ドル(約6900億円)と公表した米原発建設での費用増を小さく見せるよう、WH経営幹部が部下に迫っていた模様だ。この部下は経営幹部の求めに応じなかったが、ほかに同様の例がなかったかを調べているという。