根室中標津空港(中標津町)に、こんなキャッチコピーのポスターが並ぶ。「空港からずっと歩いている」「摩周湖までずっと歩いてきた」。ロングトレイル(長距離自然歩道)「北根室ランチウェイ」への誘いだ。地元の酪農家らが整備した「歩く道」が、いま注目されている。
北の大地を歩く長大な道、首都圏の応援団が支援
「やったあ!」。中標津町のモアン山(356メートル)の頂で、参加者らはストックを青空に突き刺すように掲げて満面の笑みを浮かべた。同町の会社員長縄みゆきさん(26)は「後ろを向いた時の景色がきれいで感動」と、くっきり見える西別岳や摩周岳に興奮気味。同町の看護師栗山キヨカさん(54)も「人生観が変わります」と息を弾ませた。
1月29日に開かれたイベント「白いモアン山を歩く」(なかしべつ観光協会主催)の一場面だ。約50人の参加者はスノーシューなどを履き、モアン山や新雪に覆われた林、牧場の丘陵地を約3時間歩いた。
このコースは、全6ステージ(計71・4キロ)に及ぶ「北根室ランチウェイ」の第4ステージの一部。JA計根別乳牛育成牧場内にあり、牛を放牧していない冬にしか入れない。栗山さんの夫の智之さん(55)は「違う星の上を歩いているようだった。こういう道づくりは誰かがやり始めなければ決してできない。大したものです」と話した。