協力金箱などの備品を前に、町職員の説明を聞く集金スタッフ=鹿児島県屋久島町
鹿児島県の世界自然遺産・屋久島の環境保全を目的に、屋久島町は3月1日から入山協力金の制度を始める。登山者から任意で協力金を集め、主に山中に5カ所ある避難小屋のトイレにたまったし尿を運び出す費用にあてる。
特集:世界自然遺産
対象は、縄文杉や宮之浦岳などの「奥岳」に入る中学生以上の登山者。日帰りで1千円、山中泊なら2千円を任意で求める。短期間に複数回入山する場合は、1カ月に1回だけ徴収する。期間は登山シーズンの3~11月。登山口などで集金するほか、登山バスのチケット購入時に集める。年約7万6千人の登山者の9割が協力すると想定し、約7千万円の収入を見込む。
島ではかつて山中のトイレのし尿を現場に埋めていた。だが、登山者の増加で水源の汚染を心配する声が高まり、2008年から人力で運び下ろすようになった。運搬経費にあてようと寄付を募ったものの赤字が続き、し尿をためたバケツが小屋の外に置いたままになる状況が続くなどしたため、町は条例を制定して協力金を集めることにした。
27日には登山口などで集金スタッフの研修会があり、制度の趣旨や集金方法などについて町から説明を受けた。(屋久島通信員・武田剛)