トルコのエルドアン大統領は5日、イスタンブールで開かれた集会で「ドイツでナチズムは終わったと思っていたが、続いていたようだ」と発言した。トルコでは4月に憲法改正の是非を問う国民投票が実施されるが、ドイツでは関連するトルコ系住民の集会が「治安上の懸念」を理由に許可を取り消され、エルドアン氏はドイツ側の対応を非難した。
エルドアン氏が事実上の指導者を務める与党・公正発展党の閣僚は、ドイツで集会に参加し、改憲へ賛成を呼びかける予定だった。
エルドアン氏は「ドイツは民主主義にはほど遠い」とし、「(ドイツは)トルコ人政治家に貸す公的な場所はないとか、多くの人々が集まると治安が脅かされるとか、駐車場がないとかいう。以前は許可を出した。私もトルコからビデオで参加する予定だったが、阻止された」とも述べた。
トルコでは、国家元首として象徴的地位にとどまる大統領に権限を集中させる与党提出の改憲案をめぐる国民投票が4月16日に実施される予定。トルコ国外での在外投票は57カ国で今月27日から始まる。ドイツには1960~70年代に多くのトルコ人が出稼ぎで移り住み、在外で最も多い150万人以上のトルコ系住民が暮らしている。(イスタンブール=春日芳晃)