財務省が国会に提出した「定期借地権の減額要望について(学校法人)」と題する文書。「(安倍総理夫人の)知り合いの方から、〈中略〉優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」などと記されている
森友学園との国有地取引をめぐり、財務省は23日、学園とのやりとりを含む外部との交渉記録約950ページを国会に提出した。この中には「定期借地権の減額要望について」と題したメモもあり、安倍晋三首相の妻昭恵氏付の政府職員からの照会として「(学園側から)優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」との発言が記されていた。
【特集】森友学園問題
「(記録が)残っていない」としてきた佐川宣寿・前理財局長の国会答弁について、同省は「事実と異なっていた」と謝罪した。
提出されたのは、2013年6月から16年6月にかけて作成した217件の記録。財務省によると、正式な文書の保存場所である「行政文書ファイル」には残っていなかったが、職員が個人的な「手控え」として手元に残していたものがあった。文書を押収していた大阪地検の協力も得て入手したものもあるという。ただ、一部の記録は見つかっていない可能性がある、としている。
記録の大半は、大阪府などの自治体や学園側とのやりとりだが、昭恵氏付の職員だった谷査恵子氏のほか、鴻池祥肇参院議員や平沼赳夫衆院議員(当時)ら複数の政治家の秘書とのやりとりも含まれていた。
谷氏からの照会内容が記されていたのは、15年11月の2日分の「メモ」。いずれも、財務省本省に対して、学園への土地の貸付料について問い合わせたことを示すものだった。
同月10日のメモには、谷氏の発言として「優遇」についての問い合わせがあり、同月12日のメモには、貸付料の免除に関する問い合わせも記されていた。12日のメモでは、谷氏の発言として「財務省がよく対応してくれているものと理解しているが」とあり、財務省国有財産審理室長の発言として「(学園との土地取引は)財務省として、現行ルールのなかで最大限の配慮をして対応しているところ」との文言もあった。
財務省はこの日、交渉記録のほかに、同省が改ざんする前の14件の決裁文書約3千ページと、貸し付け契約に関連して近畿財務局が本省に相談した際の「本省相談メモ」約30ページも提出した。
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