トランプ米大統領は23日、新しい駐日大使に、投資会社創設者のウィリアム・ハガティ氏を指名すると正式に発表した。日本での勤務経験がある経済に明るい知日派だ。4月から始まる日米経済対話では、自動車や農業などの分野でせめぎ合いも予想される中、トランプ氏とのパイプ役として期待されている。議会上院の承認を経て就任する。
米駐日大使にハガティ氏を指名 トランプ政権が正式発表
ハガティ氏は、経営コンサルタント会社ボストン・コンサルティング・グループに勤務していた1990年代後半、上級駐在員として東京に3年間勤務した経験がある。
昨年の大統領選でトランプ氏が共和党候補者指名を獲得した後、トランプ氏の選挙陣営に入り、テネシー州財務委員長として選挙資金確保に貢献した。同州には日産やブリヂストンなど日本企業の生産工場があり、ハガティ氏は日本企業とも投資交渉などで関わってきた。
トランプ氏は選挙中、「駐日大使は、非常に重要なポジションだ。我々は日本と交渉しなければならない。米国は、ビジネスの能力のない連中ばかり使っている」と訴えた。日米経済対話を控え、交渉能力や日本企業に知見のあるハガティ氏を選んだとみられる。
オバマ政権の時、ルース、ケネディ両駐日大使はオバマ前大統領との信頼関係が深く、いつでも直接連絡できる間柄だった。一方、ハガティ氏とトランプ氏の緊密ぶりは不透明だ。また、外交経験はなく、北朝鮮の挑発行為や中国軍の台頭など安全保障環境が厳しさを増すアジアでの手腕も問われそうだ。(ワシントン=佐藤武嗣)