卒業予定だった大和晃さんに特別学位記が授与されることが告げられると、両親は涙を流した=24日、熊本市、平井良和撮影
熊本地震で犠牲になった大和(やまと)晃(ひかる)さんが卒業する予定だった熊本学園大で24日、卒業式があり、大学は、出席がかなわなかった晃さんに「特別学位」を授与した。被災した友人へ食べ物を届けた晃さんの行動を「高く評価」しての特別学位。受け取った父の卓也さん(58)は遺影に「おめでとう」と語りかけた。
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晃さんは昨年4月14日の「前震」で被災した友人に水と食べ物を届け、熊本市内から車で、自宅のある阿蘇市方面へ戻る途中の16日未明、本震で崩落した阿蘇大橋付近で行方不明に。県による捜索中断後も自力で捜し続けた両親らが車の一部を見つけ、8月の遺体発見につなげた。
熊本学園大は、友人を助けた晃さんの行動を高く評価し、卒業生とみなす「特別学位」を授与することにした。卒業式後、学長室で学位記を受け取った卓也さんは「思い残すことはありません」と感謝した。
母の忍さん(49)は卒業式の最中、何度も涙をぬぐった。その理由を「スーツ姿の卒業生と、晃の姿が重なりました」と話した。「誰にでも優しくでき、困っている人に手を差し伸べる子でした」と振り返り、特別学位を受けたことをどう報告するか、と問われると「報告することはありません。晃は私たちの目と耳を通じて、(今日のことを)感じて、一緒に喜べたと思います」と言った。(平井良和)