ローマで25日、EUや共通通貨ユーロに反対するデモに参加する人たち=山尾有紀恵撮影
欧州統合の基礎となったローマ条約の締結から60周年を記念する欧州連合(EU)首脳会合が開かれた25日、会場のローマ中心部カンピドリオの丘周辺ではEUに賛成、反対の両派がデモを行った。ロンドン中心部で22日にテロ事件が起きた直後で、イタリア治安当局は会場周辺の警備をさらに強化。デモが行われる場所を中心に約1千カ所に監視カメラが設置された。
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親EU派は会場周辺の広場に集まり、「欧州第一」などと書いた旗を掲げて、「EU市民」と書いたシールを胸に張り、EUの記念日を祝った。ピエトロ・ノチータさん(76)は「EUに入ったことで、得た権利がある。(反EUの)ポピュリズムは危険だ。欧州を一つの集団とみるよう、若い人たちへの教育が必要だ」と語った。
一方、反EU派は別の場所に集合。「ユーロ反対」「EUにノーを」などと書いた横断幕を掲げて、会場周辺へ向かってデモ行進した。多数の警察官が動員されてデモ隊と向き合い、一時緊張が高まった。
1年前に始めたピザ屋の経営が傾いているというベロニカ・ロッシさん(32)は、「欧州の連帯といっても、失業などで市民は困窮している。政府は自国民のことを第一に考えるべきだ」と語った。(ローマ=山尾有紀恵)