韓国検察は27日、朴槿恵(パククネ)前大統領(65)の逮捕状を請求したと発表した。検察は21日に朴氏に任意で出頭を求め、サムスン電子副会長らから約束分を含め総額433億ウォン(約43億円)の賄賂を受け取ったり、支援者のチェ・スンシル被告(60)に機密文書を流出させたりしたなどの疑いについて事情聴取していた。
検察は27日、これまでの捜査内容や特別検察官から引き継がれた捜査記録、朴氏の供述について検討したとした。その結果、事件が極めて重大であることに加え、朴氏がほとんどの容疑について否定しており、今後、証拠を隠滅するおそれがあると指摘。チェ被告や朴氏の指示を受けた政府高官、贈賄の容疑者も逮捕されていることから、逮捕状を請求しなければ公平性に反するとした。
裁判所は近く逮捕状を出すかどうか審査する。審査は29日にも行われるとの見方が出ている。
検察と特別検察官はこれまで一連の事件で計39人を起訴した。起訴内容によると、収賄や機密文書流出のほかに、財団の設立資金として企業に計774億ウォン(約77億円)の拠出を強要したり、朴政権に批判的な芸術家や俳優らの「ブラックリスト」を作って政府の支援対象から外したりしたなど計13件で朴氏はチェ被告らと共謀したとされる。
朴氏は国会からの弾劾(だんがい)訴追を受けて今月10日、憲法裁判所から罷免(ひめん)を宣告され、大統領を失職した。韓国では憲法の規定で大統領は在職中、刑事訴追されないが、朴氏は失職に伴ってこの特権も失っていた。
韓国の大統領経験者が退任後に捜査を受けるのは、1995年の盧泰愚(ノテウ)氏と全斗煥(チョンドゥファン)氏、2009年の盧武鉉(ノムヒョン)氏に続いて4人目。逮捕されれば、盧泰愚氏、全斗煥氏以来になる。(ソウル=東岡徹)