男子SPで演技するネーサン・チェン=林敏行撮影
(30日、フィギュア世界選手権 男子SP)
フィギュア特集 Kiss and Cry
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来年の平昌五輪で連覇を目指す羽生結弦(ANA)のライバルの一人だ。今季シニアデビューし、2月の四大陸選手権(韓国・江陵〈カンヌン〉)を制した17歳のネーサン・チェン(米)。SPでは後半のトリプルアクセルで転倒したものの、4回転のルッツとフリップを決め、観客を沸かせた。
初の世界選手権にも、重圧を楽しむ余裕がある。「コンディションは最高。新しい経験だし、わくわくしている」。練習では4回転ジャンプを高確率で決め、好調を維持している。
中国系移民の両親を持ち、米国で生まれた。5人きょうだいの末っ子で、3歳で競技を始めた。フィギュアに生かすため、氷上練習以外では体操やピアノを習い、自由に遊べる時間はほとんどなかったという。だが、10歳の頃、父が失業してレッスン代を払えず、十分な練習が積めなかった。「今は楽しく練習できて、ありがたい」
チェンは言う。「僕には今でも、ハビ(フェルナンデス)やユヅ(羽生)がアイドルで、尊敬する選手。一緒に滑ることができて幸せだし、うれしい。でも、彼らと戦わなければならないし、自信はある」。全米王者のプライドがにじむ。(野田枝里子)