履正社―報徳学園 九回表履正社1死満塁、若林は勝ち越しの適時打を放つ=細川卓撮影
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決勝は史上初の大阪対決に決まった。30日にあった準決勝は、第1試合で履正社(大阪)が報徳学園(兵庫)を6―4の逆転で制した。第2試合は大阪桐蔭(大阪)が秀岳館(熊本)に2―1で競り勝った。履正社は3年ぶりの決勝で初めての、大阪桐蔭は5年ぶり2度目の頂点を目指す。
1点差を追う履正社が九回、底力を見せた。
先頭の代打白滝恵汰君(2年)が打席に立った。「先発では出られない。でも、いつでも行けるように準備している」。右中間二塁打で突破口を開いた。1死一、三塁としたあと、打席には溝辺冬輝君(3年)。スクイズのサインに3球目できっちり応える。
その後の満塁で打席に立ったのは4番の主将・若林将平君(3年)。大会屈指の強打者として注目されている安田尚憲君(3年)が敬遠気味に歩かされたあとだったので「なんとか打ちたかった」。高めの球をとらえ右前に勝ち越し打を放った。
今大会、楽に勝ち上がってきたわけではない。1回戦の日大三(東京)戦は八回まで同点だった。2回戦は呉(広島)を1―0でなんとか下した。接戦を制する強さを岡田龍生監督(55)は「(準優勝した)3年前のチームほどの力はない。全員が熱心に練習し、音を上げない。そういうところが今年のチームの良さ」という。決勝の相手は大阪桐蔭と決まり、「史上初の大阪対決を楽しみにしている」。
安田君は「桐蔭とはこれまでもずっと戦ってきた。大阪のライバルとして、甲子園の決勝という特別な場所で戦えることはわくわくする。早く戦いたい」と話した。
大阪桐蔭は、エースの徳山壮磨君(3年)が、完投した前日に続き力投した。
秀岳館の強力打線相手に強気の投球を見せる。直球を左右に散らし、変化球もさえた。「マウンドでは、僕の背中をみてついてきてくれ、と思っている。プレーで示したい」。被安打7で1失点。出塁は許しても、粘り強い投球で切り抜けた。
苦しんだ打線も要所で援護した。山田健太君(2年)が六回2死三塁から右翼線安打し、待望の先制点を奪った。「打った手応えはそうでもなかったけど、食らいついて振った結果だと思う」。8回にも味方がチャンスを広げ、山田君。左越え二塁打で追加点。好投していた先発投手を降板させた。徳山君の力投に、打線が応える。いい循環が生まれている。
決勝は昨秋の府大会で敗れた履正社が相手だ。「秋に負けた悔しさを胸に臨みたい」と、山田君。「秋は力不足だった。あの負けから僕は成長した。冬の練習の成果をぶつけたい」という徳山君。準々決勝の133球に続いて、準決勝も117球。3連投になるが、「疲れたとか言っていられない。決勝も行く」
西谷浩一監督(47)は大阪対決について「戦えることを光栄に思う。強い気持ちで全員で勝ちに行く」と話した。