エクアドルの首都キトで4日、支持者を前に演説するレニン・モレノ氏=AP
2日に投開票された南米エクアドル大統領選の決選投票で、同国の選管当局は4日、反米左派のコレア大統領が推す与党のレニン・モレノ前副大統領(64)が当選したと発表した。モレノ氏はかつて強盗に遭って負傷したため、常に車椅子が必要で、自ら障害者の権利を守る活動をしてきた。
選管発表によると、開票率99・89%の段階でモレノ氏の得票率は51・14%、右派の野党候補で元銀行頭取のギジェルモ・ラソ氏(61)は48・86%。選管当局はテレビとラジオを通し、「公式な結果で(現時点で)逆転することはない」と伝えた。任期は5月からの4年間。
ただラソ氏は「開票で不正があった」として敗北を認めておらず、異議を申し立てる考えだ。各地で支持者の抗議行動も起きているが、米州機構の選挙監視団は不正があったとの認識は示していない。
南米では近年、ばらまき政策や汚職の発覚で行き詰まった左派政権の衰退が続いてきたが、エクアドルでは貧困削減やインフラ整備の実績が評価され、左派が踏みとどまった。ただ近年は主要産業の原油価格の下落で経済が低迷している。貧困対策や公共事業に力を入れた現政権の継承を掲げるモレノ氏は、難しいかじ取りを迫られそうだ。(ワシントン=田村剛)