取材に応じるフラッカリ会長=稲垣康介撮影
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長が5日、2020年東京五輪の野球について、朝日新聞のインタビューで改めて「1次リーグ総当たり方式」を訴え、「首都圏でもう一つ」と切望していた球場に千葉マリンスタジアム(千葉市)を挙げた。大会組織委員会との溝は深く、「大会方式は国際連盟が提案し、組織委が承認するのが手順だ。合意に至らなければ、国際オリンピック委員会(IOC)に主張する」と強い姿勢を見せた。
会長はインタビューで、「野球を国技として愛する日本のファンのためにも、考えは翻さない」と語った。ただ、1次リーグを総当たり方式にして試合を増やし、会場も追加すると警備費など経費は膨らむ。このため組織委は及び腰だ。会長は「組織委の苦しい財政事情は理解できるが、日本はプロ野球のリーグを中断してプロ選手が参加してくれる。その努力に敬意を表し、最高の大会にする責任が私にはある」と述べた。
さらに会長は、東京五輪で野球を成功させ、24年五輪以降に存続させることが、世界的な普及に不可欠だと指摘。「08年北京五輪を最後に実施競技から外れたとき、政府や国内オリンピック委員会などからの強化費、協賛金、メディア露出の広告効果を含めると世界中で年間5千万ドル(約55億円)以上の損失となった。五輪はそれほどの影響力がある。だから、私は純粋に東京五輪を大成功させたい。日本の野球ファンは共鳴してくれるはずだ」と支持を訴えた。
難航が必至な大リーガー参加については、3月に大リーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーと会談したことを認めつつ、「大会方式が決まらない段階で大リーグ側に具体的な提案はできない」と口を濁した。一方で「1次リーグ総当たり方式で決着すれば、私はより真剣に大リーガー参加に取り組む立場になる」とも語った。(オーフス〈デンマーク〉=稲垣康介)