徳川家康の洋時計を見る天皇、皇后両陛下、スペインのフェリペ6世国王夫妻。左端は久能山東照宮宮司の落合偉洲さん=7日午後0時40分、静岡市葵区の浮月楼、嶋田達也撮影
天皇、皇后両陛下は7日、国賓として来日したスペインのフェリペ6世国王夫妻を静岡市へ案内し、市内の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で、約400年前にスペイン国王から徳川家康に贈られたというぜんまい式西洋時計を鑑賞した。
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この時計は、1609年に千葉県沖でスペイン船が遭難した際、乗組員を保護したお礼として、約2年後に贈られた。高さ約21センチの金銅製の箱形で、ドーム形の屋根部分には、細やかな透かし彫りが施されている。天皇陛下は「どこでつくったものですか」と尋ね、「1581年」「マドリード」などと記された銘板を確認した。国王は「スペインと日本の友好のシンボルとして非常に大切なもの」と語った。
両陛下と国王夫妻は、静岡浅間神社にも足を運び、地元の小学生らによる郷土芸能「稚児舞」を鑑賞。その後、神社内で別れのあいさつを交わした。この日は雨。宮内庁によると、国王は「今回は富士山が見えませんでしたが、必ず再び訪日して晴れた日の富士山を見たい」と伝え、天皇陛下はうれしそうにうなずいたという。(中田絢子)