米国のパウエル元国務長官が2003年、イラクに大量破壊兵器があると安保理で訴えた時の写真を掲げ、米国のシリア攻撃を批判したボリビアの国連大使=7日、米ニューヨークの国連本部、金成隆一撮影
トランプ米政権が6日にシリア中部のアサド政権軍の空軍基地をミサイル攻撃したことを受け、国連安全保障理事会は7日、緊急会合を開いた。シリアを支持するロシアは国際法に反する「侵略行為」と米側を非難。対する米国は「完全に正当化される」と反論した上で「さらなる行動の用意」を述べ、ロシアやシリアを牽制(けんせい)した。日本も米国の攻撃に理解を示した。
緊急会合の開会を求めた非常任理事国ボリビアの国連大使が最初に発言し、米国の攻撃を「単独行動」と批判し、「武力行使は、国連憲章51条の自衛権の行使か、安保理の承認がある場合のみ合法だ」と訴えた。
2003年のイラク戦争開戦前、当時のパウエル米国務長官が、イラクに大量破壊兵器(WMD)があると発言する写真を掲げて「この写真を覚えておかなければならない。歴史から学んだことを思い出すことが重要」と主張した。イラクからWMDは見つからなかった経緯から、今回の攻撃でも、根拠となるシリアの化学兵器保有の証拠がないことを批判したものだ。
ロシアのサフロンコフ国連次席大使も、シリアが化学兵器を使った証拠が示されていない点を指摘、「言語道断の国際法違反で侵略行為だ」と非難した。スウェーデンのスコーグ国連大使も「昨夜の攻撃は国際法との整合性で疑問視される」と述べた。
これに対し、米国のヘイリー国連大使は「化学兵器の拡散と使用を阻止することは米国の安全保障上の不可欠な利益」と強調。化学兵器を使った攻撃に使用された航空施設を破壊したと成果を訴え、「完全に正当化される」と主張した。
その上で「熟慮の末、措置に踏み切った。我々はさらなる行動をとる用意もある」と述べ、シリア政府の対応次第では米国の軍事行動が続くと警告を発した。
英国のライクロフト国連大使は…