街宣車の助手席から手を振る候補者=9日午後、名古屋市東区、戸村登撮影
名古屋市長選は9日告示され、3期目を目指す河村たかし氏(68)=減税日本推薦=、前副市長の岩城正光氏(62)、元会社員の太田敏光氏(68)の無所属3人が立候補した。名古屋城天守木造化や市民税一律5%減税など河村市政の継続か転換かが問われる。投開票は23日。
河村氏は東区の事務所前で第一声。市長給与を年800万円にしていることに触れ、「市長が給料を減らすと、議員が減らして、公務員も給料が減る。8年間、八百長の政治を変えてきた」と改革姿勢をアピールした。
岩城氏は昭和区の交差点で第一声。「河村市政は思いつき、無責任、混迷と停滞と空白の8年だった。議会と対立し、職員との信頼関係が築けていない」と批判し、「市政を現場主義、対話主義、市民主義で刷新する」と訴えた。
両氏は、買い物客らでにぎわう栄や大須、名古屋駅前などの繁華街を回って支持を呼びかけた。
争点の天守木造化について、2022年完成を目指す河村氏は「本当によかった。千年で国宝になりますよ。ゆっくりやると、全部やり直し。コンクリートで補修することになる。木造なら河村さん、コンクリートなら、そうでないほう」と、岩城氏との違いを強調した。
岩城氏は「一歩間違えると後で大きなつけが回ってくる。借金を子どもや孫に返させる事態は避けなければならない。いま慌てて進めると、東京五輪の時には(工事で)天守のない名古屋城になる」と慎重な見方を示した。
市民税減税については、継続を訴える河村氏は「税金がちょっとでも安いほうが庶民に温かい。もし減税をやめたら、公務員の給料が戻るに決まっとる」と岩城氏を牽制(けんせい)した。
岩城氏は「金持ち優遇策で、格差だけを拡大する」と批判。「減税をやめることで生み出される財源を市民生活の向上、サービスにつなげることが行政の責任だ」と主張した。
岩城氏は市議会の自民、民進、共産3党と、社民党県連合が支援する。
太田氏は天白区の地下鉄駅前で第一声を上げ、天守木造化、市民税減税などへの反対を訴えた。(諸星晃一、関謙次、佐藤英彬)