東京都の築地市場の豊洲移転をめぐり、都の市場問題プロジェクトチーム(PT)座長の小島敏郎・青山学院大元教授らが8日、市場を移転せずに築地で再整備する案を公表した。期間は7年、整備費は734億円で可能だとし、豊洲の用地は3200億~4370億円で売却できるとした。
特集:豊洲移転問題
小池百合子都知事が昨年8月に移転延期を表明して以降、築地の再整備案が具体的に示されたのは初めて。PTが豊洲移転案とあわせて5月に報告書をまとめ、都幹部でつくる「市場のあり方戦略本部」が検討した後、最終的に小池氏が移転の可否を判断する。
小島座長らは市場業者らとの意見交換会で再整備案を示した。市場の営業は続けながら、施設の建て替えや耐震改修をする内容。ただ、環境基準超の有害物質が検出された土壌の汚染対策費は含まない。豊洲の施設は約150億円で解体し、用地は住宅や商業地として区画整理する想定で売却価格を算出したという。
一方、豊洲移転案も示し、開場後の運営で年に最大98億円の赤字が生じるため使用料の値上げが迫られるなどと指摘した。
小島座長らの案について小池氏は8日、報道陣に「いろいろ調査されたと聞いている。戦略本部で(課題の)総点検を進めたい」と話した。(小林恵士)