スポーツ庁や日本オリンピック委員会（ＪＯＣ）が１０日、スポーツ界における女性の地位向上などをうたう国際的な提言「ブライトン・プラス・ヘルシンキ宣言」に署名した。宣言には「スポーツに関する組織のリーダーに就く女性の数を増やすこと」も含まれるが、日本の競技団体の女性役員の割合はまだ１割程度に過ぎない。

鈴木大地スポーツ庁長官は署名式で、２月の札幌冬季アジア大会のレセプションで、欧州の役員が「男性が多いね」「これがアジアなのよ」とささやき合っているのが聞こえた、というエピソードを明かした。「スポーツにおける女性の社会進出に向けて努力していきたい」と話した。

同宣言が採択された２０１４年の世界女性スポーツ会議では「全ての組織は２０年までに、指導的地位にある女性の比率目標を４０％まで引き上げるべきだ」という勧告も出された。国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）では昨年、各委員会メンバーに占める女性の割合が初めて３分の１を超えた。

だが、ＪＯＣの女性役員は橋本聖子氏、高橋尚子氏、山口香氏のオリンピアン３人だけで、９・４％。ＪＯＣの昨年１０月の調査によると、加盟する６３の競技団体全体でも１０・３％。スポーツ界が男性中心だったことに加え、実績重視の中で男性と同等のキャリアを積む機会が少なかった女性は選出されにくかった。

女性のリーダーを増やすことは女子の競技環境を向上させ、競技のすそ野を広げる効果が期待される。日本フェンシング協会理事を務める井口加奈子弁護士の印象では、女性役員は強化だけでなく子どもから高齢者までの普及に目配りができるという。

しかし、登録選手数とのアンバランスも目立ち、女性の声が反映しにくい状況が浮かぶ。笹川スポーツ財団の１４年度の調査によると、日本バスケットボール協会に登録する競技者の約４５％にあたる約２７万７千人が女性だが、女性役員は２０％（４人）。登録人口の４割弱の約１１万５千人が女性の日本卓球協会も、女性役員は１人だけ。女性の競技人口（約２５万５千人）が男性の倍以上の日本バレーボール協会でも、女性役員は３８・１％にとどまる。

全日本柔道連盟は、１３年に発…