財務省が20日発表した2016年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を引いた「貿易収支」の対米黒字は前年度比8・2%減の6兆6294億円となり、5年ぶりに減少した。内訳では、今年1月からシェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の輸入が急増しており、対日貿易赤字を問題視するトランプ米政権からの圧力をかわす材料の一つとなる可能性もある。
対米輸出額は、鉄鋼や半導体の輸出が不振で6・5%減の14兆1187億円となった。トランプ氏が問題視する自動車輸出は円高が影響し、金額ベースでは2・8%減だったが、数量では3・8%増と増えた。
一方、対米輸入額は同4・9%減の7兆4892億円。下げ幅が輸出より小さい背景には、シェールガスの輸入が増えていることもある。16年度の液化石油ガス(LPG)の対米輸入額は30・5%増の1830億円。大半がシェールガス由来で、今年1月からはLNGの輸入も始まり、3月の輸入額は103億円だった。
16年度の全体の貿易収支は4兆69億円の黒字だった。年度単位での黒字は6年ぶりで、11年の東日本大震災後初めてとなる。(栗林史子)