今村雅弘復興相の21日の閣議後会見で、自主避難者に関する記者の再質問に対し、復興庁が一方的に会見を打ち切った。東京電力福島第一原発事故で故郷に戻れない自主避難者を今村氏が「本人の責任」と発言して以降、復興庁は会見での質問を制限している。
問題発言があった4日の会見以降、復興庁は「記者の質問は1回のみで、関連質問する場合は改めて挙手をし直して指名されてから聞く」という方式を導入した。復興庁には記者クラブがない。
21日の会見では、フリー記者が住宅の無償提供を打ち切られた自主避難者への対応を質問した。今村氏は「いろんな方がいる。そういったものをよく聞いてから対応したい」と述べた。フリー記者が追加質問をしようとすると、司会の広報担当参事官(課長)がさえぎり、別の記者を指名。改めてフリー記者が質問しようとしたが、広報担当は「これで終わります」と会見を打ち切った。
このフリー記者は4日の会見で、今村氏に「うるさい」などと言われた記者だが、復興庁はそれ以降、他の記者に対しても自主避難に関する質問には「同じ質問はしないでほしい」などと制約を求めてきた。
広報担当は21日の会見打ち切りについて「それまでのやりとりで記者が聞きたいことは聞いたと思った」と取材に回答。質問を制限することは「(問題発言以降)記者が多くなり、会見を円滑に進めるためだ」と説明した。今村氏の指示はない、としている。
復興庁では、前復興相の高木毅氏が過去に女性宅から下着を盗んだと週刊誌で報じられた疑惑が2015年にあったが、記者会見で質問の制約はなかった。(赤井陽介、編集委員・大月規義)