イタリアのアリタリア航空が経営危機に陥っている。赤字が続く中、増資を計画したが、前提となる経営再建策の受け入れを従業員側が拒否。来月にも資金繰りが行き詰まるとの見方があり、法的整理を視野に入れた手続きの準備を始めた。「現時点では運航には影響はない」としている。
同社は原油高によるコスト増などで経営が悪化し、2008年に会社更生手続きを申請。不採算部門を切り離して新会社としてスタートしたが、14年にアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空から49%の出資を受け入れた。
しかし、その後も格安航空会社に押されるなどして赤字が続き、今年3月に最大2千人の人員削減を含む再建策を策定。従業員の同意を条件に投資家に20億ユーロ(約2400億円)の増資を引き受けてもらう予定だったが、人員削減に反発する従業員側は24日、投票で受け入れ拒否を決めた。
増資が難しくなったため、同社は25日の取締役会後、「法的手続きの準備を始める」と発表。現地メディアによると、近く開く株主総会で承認が得られれば、特別管財人を指名し、資産売却や新たな出資先確保などによる自力再建策を検討する見通しだ。政府は国有化などには乗り出さない構えで、自力再建が難しいと判断されれば、身売りや清算の可能性もあるという。(ロンドン=寺西和男)