29日、ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)27加盟国の首脳会議=ロイター
英国を除く欧州連合(EU)27加盟国は29日、ブリュッセルで首脳会議を開き、英国の離脱交渉に向けた指針を全会一致で採択した。EUに対して1カ月前に正式に離脱通知した英国のメイ首相は、よりよい条件を勝ち取ろうと意気込む。EU側は結束して、英国に厳しい姿勢を示すが、英国が加盟国の分断に動くのではないかとも警戒している。
メイ氏は、総選挙を6月8日に前倒しして実施することにした。移民規制の最優先など、EUとの交渉に向けた自らの方針に対する実質的な信任投票だ。選挙に勝つことで、世論の支持を盾にEUに圧力をかける狙いがある。27日の支持者集会では、「相手側は27カ国で敵対しようとしている。状況を不安定にし、経済成長への甚大なリスクになる」とEU側の姿勢を非難した。「交渉には強く安定した指導力が必要だ」と述べて、政権の方針への支持を呼びかけた。
ただEUは、英国の総選挙は交渉の方針や原則2年の交渉スケジュールに影響を与えないとしている。反EUを掲げるルペン氏が決選投票に進出したフランス大統領選もにらみ、「離脱派」に強硬な姿勢を示す。
EU首脳会議のトゥスク常任議長は29日の会議後、「指針は4分で採択された」と述べ、27加盟国の結束の強さを強調した。ユンケル欧州委員長は「交渉は厳しいものになるだろうが、今日示した結束を保つためにあらゆることをしなければならない」と話した。
トゥスク氏は28日、27加盟…