綾野剛=村上健撮影
■「フランケンシュタインの恋」に主演
「自分を固めるのは怖い。綾野剛はこうだと決めてしまった瞬間から、僕は崩れていくタイプの人間です」
綾野剛さん一問一答
放送中のドラマ「フランケンシュタインの恋」(日テレ系、日曜夜10時30分)で、一度死んだが医学博士の父の手でよみがえり、120年間名前もないまま森の中で孤独に生きてきた怪物を演じる。
「僕は役のもの。いろいろ変化しないと」と話し、怪物と自分自身との距離感を測ったりはしない。「怪物がイエスなら僕もイエス。そのイエスをどのように導くかが僕たちの仕事」。怪物が好んで聞くラジオの中の言葉「自分をわかっている人なんて、自分を変えられなくてつまらない」に共感している。
だが、ピュアな心を持つ怪物の役作りには選択肢が多く「答えがありすぎて不自由」。その分「やり過ぎ」と思うほどの準備をして現場に臨む。「ずるいこと、賢いこと、素直なことを、35年の人生で経験してきた」という自分の演技に説得力を持たせるため、演じ方をいくつも考え、数十秒のシーンのために2カ月以上かけて体を作った。
自らを「臆病」とまで語るこの姿勢は、先輩や友人たちから、役者としての本物の覚悟や責任感を学んで身につけた。「周りの人に恵まれた。自分で作ったのではない。いまだに子役からも影響をうけることがたくさんあります」
周囲から学び続ける「軟体動物」のような柔軟さが「僕の強みかも」と言う。この作品が終われば、また次の新たな役作りが。「いま怪物のためにある体が、次の役のためのものになる。だから、常に僕は誰かのダミー」(真田香菜子)