井の頭公園の100年
東京・吉祥寺駅近くの都立井の頭公園(武蔵野市、三鷹市)が1日、開園100年を迎えた。雑木林と大きな池を有する公園に、生きる力を与えられたと言う人は少なくない。公園に助けられ、夢をかなえた人たちが感謝を込めて魅力を発信し続けている。
♪不安になったら ここに来よう/泣きたくなったら ここに来よう/みんなで一緒に 歩きましょう
4月22日、昼下がりの井の頭公園で、ビールケースの上に立った小柄な女性が歌っていた。「井の頭公園の歌姫」と呼ばれる、あさみちゆきさん(39)の月1回の青空無料ライブ。自作の代表曲の一つ「井の頭公園」の歌声に、取り巻く400人ほどが声を合わせた。神奈川県大和市の関喜代司さん(69)は「あさみさんは長女と同じ年。娘を応援する気持ちで、11年通っています」。
歌手になろうと、1996年に山口県から上京。なかなかデビューできずに夢を諦めかけた2001年、歌う場所を求めて行き着いたのが井の頭公園だった。家族連れやカップルを乗せたボートが浮かぶ井の頭池、サクラやヒノキなど約2万本の樹木。アジアゾウ「はな子」の自然文化園、三鷹の森ジブリ美術館もある。「いろいろな年齢の人がいて、時間がゆっくり流れている。ここなら、私も受け入れてくれるかも」
公園で歌い続けるうち、ある音楽プロデューサーの目にとまった。CDデビューの条件は、ギターを弾けるようになること。公園に聴きに来ていた男性に教わり、03年にデビュー。これまでに11枚のアルバムを出し、07年には第49回日本レコード大賞・日本作曲家協会奨励賞を受賞した。
あさみさんは今も、作詞を手がけてくれた阿久悠さんの言葉が忘れられない。「公園を大事にしなさい。歌を手紙と思って、一枚一枚渡すように歌いなさい」
井の頭公園にはあさみさんのほ…