東京海上日動の担当者が偽造した文書。病院から取り寄せていない画像の所見などを並べ「後遺障害には該当しない」と結論づけていた
交通事故の後遺障害を訴えた被害者に、東京海上日動火災保険(東京都千代田区)の佐賀損害サービス課(佐賀市)の担当者が「該当しない」とする文書を偽造して渡していた。同社は偽造だと認め「担当者が手続きを怠っていたため」と説明している。他にも同じような事案があるとして、同社が調べている。
同社によると、佐賀県神埼市で2014年9月26日、鳥栖市の男性の乗っていた車に、対向車線にはみ出した車が衝突した。男性は治療を受けたが首や腰の痛み、両手のしびれが残った。
男性は15年8月、後遺障害診断書を医師に書いてもらい、弁護士を通じ、相手の任意保険会社、東京海上日動に後遺障害の手続きを頼んだ。4カ月ほど経っても決定が出ず、担当者は「調査に時間がかかっている」と回答。16年4月になって「(外部の調査機関により)後遺障害としては非該当と判断された」との文書が届いた。
疑問に思った男性が問い合わせを続けたところ、今年4月になって、後遺障害の認定手続きをしていなかったことがわかった。同社によると、担当者が、病院から取り寄せてもいない画像について所見を詳しく述べるなど、うその判断理由をA4判1枚半にわたって記載し、偽造していた。
男性は、後遺障害に該当しないことを不服として異議申立書も出したが、この担当者は、申立書や後遺障害診断書を持ち帰り、ゴミと一緒に捨てていた。同社の調べに「整理した時、誤って捨てた」と話し、後遺障害については「忙しくて手続きを忘れていた」と説明したという。
調査したところ、他にも同じような事案があり、詳しく調べている。同社広報部は「お客様にご迷惑をおかけし、おわび申し上げます。適切に対応してまいります」としている。