フランス大統領選候補の支持者の典型例
欧州連合(EU)の命運がかかるフランス大統領選の決選投票が7日、投開票される。直前の世論調査では親EUのエマニュエル・マクロン前経済相(39)が、反EU、反移民を訴える右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏(48)を抑えて優勢だ。ただ両候補のいずれにも抵抗感を持つ人は多く、「積極的な棄権」の動きもある。
特集:フランス大統領選挙
マクロン氏の横顔
ルペン氏の横顔
IPSOS社など複数の世論調査会社が5日に発表した支持率は、マクロン氏が61・5~62・0%、ルペン氏が38・0~38・5%。3日のテレビ討論前に18ポイントほどだった差が、さらに5~6ポイント拡大した。ルペン氏の批判にも顔色を変えずに冷静な反論に努めたマクロン氏がリードを広げた。
投票は7日午後8時(日本時間8日午前3時)まで。同日夜(同8日朝)には勝敗が決する見通しだ。
ルペン氏が訴える自国通貨フランの復活や脱EUの国民投票か、マクロン氏が進めるというEUの統合深化か。世界を揺るがしかねない大統領選の運動期間が5日、終わった。
「決意は揺らがない。心は落ちついている」。マクロン氏は同日、ラジオ番組に出演し、こう語った。フランスの失業率は約10%で高止まりし、国民は苦しい暮らしに不満を抱く。社会が分断された、との指摘も強い。「EUは我々を守る」と主張するマクロン氏は「社会の融和をいつも念頭に置いている」と述べ、ルペン氏を「国民の怒りに働きかけるだけで何も生み出さない」と批判した。
一方のルペン氏も、同じラジオ局の番組で、保護主義的な政策を採って「国民を犠牲にする、野蛮なグローバル化に立ち向かう」と呼びかけた。高級官僚や投資銀行のキャリアを持つマクロン氏を「エリートや企業のための候補で、(EUを引っ張るドイツ首相の)メルケル氏への服従だ」と非難した。
マクロン氏の優位は鮮明だ。ただし世論調査会社エラブによると、マクロン氏に投票するという人の53%が、「ルペン氏への反対票だ」としている。
反移民、反イスラムを掲げるF…