焼失した木造アパート=8日午前9時17分、北九州市小倉北区清水2丁目、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影
「中に人が!」。あっという間に炎が建物を包み、6人もの命を奪った。北九州市で7日深夜に発生したアパート火災。格安の家賃で一人暮らしの中高年男性らが多く住み、生活保護を受けている人もいた。
北九州でアパート全焼、6人死亡 男性5人けが
「頭に火の粉が降ってきた。パンツのまま逃げ出した」。中村荘の1階に住んでいた建設作業員の末光健一さん(66)は近くの路上で興奮気味に振り返った。やけどをした頭には赤い水ぶくれがみえる。「パチパチと燃える音がして目が覚めた。ドアを開けたら右側が炎で燃えさかっていたので、慌てて玄関から逃げた。携帯電話も財布もすべて燃えた」
アパートには1階と2階に計16室があり、いずれも男性の一人暮らしだったという。末光さんは昨年8月から住んでいるが、他の住人と面識はなく、「会社もばらばらだった。どんな人が暮らしていたか分からない」と話す。
新聞配達員の60代の義父が2階の部屋に住んでいたという男性は、病院からの連絡で火災を知り、現場を訪れた。義父は2階から飛び降りて病院に運ばれたが、命に別条はないという。男性は数回、部屋を訪ねたことがあり、「部屋は5畳ほどで、共同のキッチンがあった」と語った。
火災が起きたのは7日午後11時20分ごろ。近くに住む男性(68)は直後に現場に駆けつけた。「2階の端から火の手が上がっていて、すぐに建物全体に燃え広がった」
近くのパート従業員、住田直子さん(77)は犬の散歩から帰宅した際、中村荘から上がる火の手に気づいた。建物の周辺に数人の男性がいて、下着姿の男性が「中に人がおる」と繰り返し叫んでいたという。
現場はマンションや住宅が立ち…