米ニューヨーク・五番街にあるアバクロの店舗=ロイター
「アバクロ」の略称で知られる米カジュアル衣料品大手アバクロンビー&フィッチが、身売りを検討していることが明らかになった。ロイター通信など複数の欧米メディアが10日、関係者の話として報じた。昨年までの4年間で売り上げが3割近く減るなどの業績不振により、株価が低迷していた。
報道を受けてアバクロは声明を出し、「複数の関係先と、我が社をめぐる取引について予備的な協議を始めた」と認めつつ、「合意に達する保証はない」とも述べた。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、買い手の候補として、同業の米アメリカンイーグル・アウトフィッターズと米エクスプレスの名が挙がっているという。
アバクロは日本にも進出している。かつてはブランド名などの大きなロゴ入りの服が若者から人気を集めたが、最近は目立つロゴが敬遠されるようになった。消費者がネットで衣料品を買うようになり、出店の中心だったショッピングモールの客足が鈍っていることも逆風になっている。(ニューヨーク=江渕崇)