決算説明会で、同席した役員の説明を厳しい表情で聞くトヨタ自動車の豊田章男社長=10日午後、東京都文京区、林敏行撮影
トヨタ自動車が2年連続の減益予想を発表した。円高がさらに進むと判断し、伸ばしてきた米国販売には黄信号がともる。日本からの輸出はトランプ政権の保護主義にも直面しており、米国での存在感がリスクになっている。
トヨタ、純利益20.8%減 18年3月期も減益予想
「自分たちの等身大の姿を真正面から見据え、徹底的に競争力を磨いていくことに尽きる」
円安という追い風がなくなったことを踏まえ、豊田章男社長は10日の記者会見でそう語った。18年3月期までの2年間で、純利益が8千億円も減る厳しい見通し。財務担当の永田理副社長も「これが実力だと思うと大変悔しい」と話した。
トヨタ車は販売の8割が海外で、うち3割が米国。現地での販売台数はゼネラル・モーターズ、フォード・モーターに次ぐ。その4分の1強は、日本からの輸出だ。
このため対米ドルで1円円高になれば営業利益が400億円減る。現地生産が多いホンダの3倍超だ。17年3月期は前年より12円円高が進み、18年3月期はさらに3円円高を見込んだ。為替をめぐる米政権の姿勢が定まらない中、楽観的な想定は避けた。「米国や英国などの政策動向に関する不確実性に留意する必要がある」。決算短信の業績見通しのくだりに、そう書き込んだ。得意のコスト削減も、原料高が逆風となるという。