大気中の微小粒子状物質PM2・5に含まれる黒色の酸化鉄の粒が、太陽光を吸収して地球温暖化に関わっていることが、東京大や気象庁気象研究所などの研究でわかった。自動車などから排出されているとみられ、今後規制などの議論につながる可能性がある。
研究は16日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載された。
酸化鉄は、砂に含まれているほか、高温になる自動車のエンジンやブレーキ、製鉄の工程など人為的にも発生すると考えられている。茂木信宏・東大助教(大気環境科学)らのチームは、日本周辺の上空で中国大陸から流れてくる空気を採取して調べたところ、小さな粒が集まって人為的に生じたとみられる200~2千ナノメートル(ナノは10億分の1)の酸化鉄粒子が多量に含まれていることがわかった。
この粒子の構造から、太陽光の吸収量を計算すると、温暖化物質のうち、二酸化炭素など気体を除く微粒子では最も大きく影響する黒色炭素(すす)の4~7%に相当する大気加熱率があることもわかったという。
茂木さんは「人間の活動から出る酸化鉄も、温暖化に影響を与えうる粒子として、研究や排出抑制の議論を進める必要がある」と話している。(竹野内崇宏)