テニスの不正監視団体TIUは16日、八百長などの不正行為に関わったとして、男子の三橋淳・元選手(27)に対し、永久資格停止と罰金5万ドル(約570万円)の処分を科したと発表した。日本協会によると、八百長関与による日本関係者の処分は初めて。
TIUによると、三橋元選手は2015年11月、南アフリカであったツアー下部の大会で、以前に指導したことがある選手を通じて、シングルスで2千ドル、ダブルスは600ドルで敗退するよう他の選手に働きかけた。12月にナイジェリアであった大会では選手に直接八百長を持ちかけたほか、禁止されているテニスの試合を対象にした賭けを76回繰り返したという。
国際テニス連盟(ITF)のサイトなどによると、三橋元選手は神奈川県出身。05年にはジュニアの国別対抗戦で錦織圭(日清食品)とダブルスを組んだこともある。07年にプロ転向し、シングルス世界ランキングは2009年の295位が最高。14年12月以降は公式戦に出場した記録はない。
日本協会の幹部は「プロ選手は我々の管理できる範囲になく、日本協会にも登録されていない」と話した。
■「怪しい賭け」、昨年292件通報
4大大会の優勝者も八百長をした可能性がある――。米ニュースサイトのバズフィードなどが昨年1月に報じ、テニス界の八百長問題が注目されるようになった。世界ランキング2位のジョコビッチ(セルビア)も2007年に関係者を通じて持ちかけられたことを明かし、「すぐ断った」と話したことがある。
サッカー、テニスなどを対象にしたインターネットによる賭けが近年盛んになり、八百長も大幅に増えている。テニス界は08年に不正監視団体「TIU」を設立。TIUはロンドンに拠点を置き、スマートフォンのアプリを作って選手を教育するほか、捜査の専門家が不正が行われていないか調査を行う。
TIUには、怪しい賭けが行われていると、ブックメーカー(賭け屋)などから通報される仕組みがある。昨年は292件の通報があり、9人の選手や審判が処分された。今年も3月までに30件の通報があった。
特徴的なのは、下部ツアーの選手の試合が多いことだ。TIUへ通報される大半が、フューチャーズやチャレンジャーと呼ばれる大会の試合で、三橋元選手が持ちかけたものも、フューチャーズの大会だ。4大大会などと比較すれば、賞金額も低く、八百長で得られる報酬の方が高いケースもある。