阪神の糸原
(16日、阪神8―1中日)
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ドラフト5位で入団した阪神の新人・糸原(JX―ENEOS)は、お立ち台と、その後の取材で、「必死」という言葉を3度使った。五回に追加点をたたき出した場面だ。
1点をかえされた直後にやってきた2死満塁の好機。外角の139キロに、腕をめいっぱい伸ばした。最後は右手一本で食らいつき、打球を左翼線に落とした。走者一掃の二塁打となり、力強く拳を握った。
島根・開星高から明大と名門の道を歩んだ24歳。持ち味は「勝負強い打撃」だ。トーナメント制を採用し、一発勝負で頂点を争う社会人時代に磨かれた。
「即戦力と考えられていると思う」。その自覚を持って、春季キャンプからアピールを続けてきた。練習では目立たないが、試合で結果を残す。金本監督から「実戦向きの選手」との評価を得た。開幕1軍をつかみ、約1カ月半。二塁、三塁、遊撃を守ることができ、今は北條の立場を脅かすような存在になった。
この日の勝ち星をもたらしたのは、糸原ら競争の渦中にいる20代だった。
一回、中谷が左越えに3ランをたたき込んだ。原口や高山と競う24歳が、昨季の4本を早くも上回る第5号本塁打。こちらも「必死なので、おごらずにやっていきたい」。自身7年ぶりの完投勝利を挙げた26歳の秋山も「一人ひとりが必死に戦っている」と言った。戦力の底上げを担う彼らに、慢心の二文字はない。(井上翔太)
○金本監督(神) 今季最多の勝ち越し11。「きちんと野球をやることを考えている。明日も全力で勝ちにいきます」
○秋山(神) 完投勝利はチーム一番乗り。「八回が終わって監督から『行きたいか?』と聞かれた。うれしかった」
○糸井(神) 六回、7点差に広げる右越え2ラン。「はっきり言います。追加点が入ってよかったです。以上!」