インタビューにこたえるギリアン・タンズCEO=29日、東京都千代田区
世界有数の宿泊予約サイト、ブッキング・ドットコム(オランダ)のギリアン・タンズCEO(最高経営責任者)が29日、朝日新聞のインタビューに応じ、旅行者を住宅に泊める「民泊」の仲介を日本でも始める考えを明らかにした。有力サイトの参入で、民泊の普及が広がりそうだ。
民泊のルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)案が今国会で成立すれば、来春に施行される見込み。その直後から、サイトに日本で民泊ができる施設を掲載する考えだ。タンズ氏は「東京五輪もあり、日本市場は急速に拡大しているが、宿泊施設の供給不足が続いている。民泊が広がれば、訪日客をさらに取り込める」と説明した。
サイトは世界で120万軒超の宿泊施設を掲載し、半数以上が住宅や別荘などの民泊用だという。日本の施設は、ホテルや旅館など約1万2千軒。国家戦略特区で合法化された物件など一部を除き、民泊用施設の掲載を見合わせてきた。
タンズ氏は「掲載物件が増えるに従い、日本人も使うようになる」とも述べ、日本人の国内旅行での利用増にも期待を示した。掲載中の日本のホテルや旅館も、もともと訪日外国人客の利用が多かったが、最近は日本人客が急増しているという。国内の観光地での、日本文化体験ツアーの販売も計画中だという。
日本には民泊仲介の専門サイト、米Airbnb(エアビーアンドビー)が進出済みで、約5万1千軒を掲載し、昨年は延べ370万人超に利用されている。ほかに外資系大手や日本勢も参入の機会をさぐっており、競争は激しくなりそうだ。(森田岳穂)